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心理カウンセラーの田中勝語です。

前回、カウンセリングの限界(1)について書かせていただきました。

大体、カウンセリングに過度の気持ちを持ち過ぎたクライエントに対して、どう接していくのかということを書きました。

今回はその続きとして
2)すぐに問題を解決しようと焦っている人

について書いてみたいと思います。

カウンセリングとは1回だけで問題が解決することも当然あります。
しかし、それ以上に何回か回数を重ねないと効果が出てこないという場面もかなり多いのです。

例えば、「自信のない性格を変えたい」という悩みで相談に来られたとします。
性格を変えるには2つ方法があります。
1つは自分の性格や気質についてじっくりと見つめ直し、自身をよく知ることから始めないといけません。自分のことがよくわからないのに、自分を変えることはほとんど不可能です。

また、2つめは実際に直面している困難な状況を整理していき、どのような行動をとるかを話し合い、その状況を乗り越えることで、性格が変わることがあります。
具体的には緊張して人と話すことができなかったが、ある時友達の遊びに誘われていったら予想以上に楽しくて、それから人と話す苦痛が減少していったという場合です。この時に、「緊張しい」の性格が多少なりとも改善がみられることがあります。

どちらにしても、短期間での改善よりも、なるべく長い視野で臨んだ方がいいでしょう。

他にも
〇彼氏にDVを振るわれていて、彼氏とすぐにでも仲良くなりたい。
〇落ち込みがひどくて、仕事ができない。すぐに仕事ができるようカウンセリングで治したい。
〇子どもが不登校になった。明日にでも学校に行かせる方法はないか。
〇娘が自分の思うようにならない。どうすれば前のように言うことを聴いてくれるのか。
〇すぐにイライラして当たってしまう。そうならない方法を教えてほしい。
などなど。

いろんな悩みを抱えてこられますが、すぐによくなろうと思えば思うほど、上手くいきません。
特にカウンセラーがすぐによくなるように頑張れば頑張るほど、カウンセリングは混乱してしまい、結果として失敗に終わってしまいます。
これを専門的には「クライエントの問題に巻き込まれる」と表現されます。

私自身もクライエントのニーズに応えなければと焦ってしまい、すぐに「問題の答え」やアドバイスをしてしまい、結果としてカウンセリングが上手くいかなかった経験はいくつもあります。

結局、カウンセリングとはクライエントが自分の問題を自身で乗り越えていくのを支えていくことです。

そしてクライエントがどうにかしたい問題を解決するのはクライエント次第であり、そのクライエントの力をどれだけ引き出せるかがカウンセラーの腕の見せ所です。

ただ話を聴くのではなく、いかにクライエントが前を向いて頑張れるように自分を見つめられるような話を引き出せるかが、カウンセラーの聴く技術です。
(この辺り、世間一般の「聴く」とは異なるものです)。

最後まで逃げずにじっくりと自分と向き合い続けるクライエントの頑張りと、それを支えて引き出すカウンセラーのスキルが相まって、効果的なカウンセリングとなります。

そのため、即効性を期待すればするほど、お互いに焦ってしまい、効果的なカウンセリングになりにくくなる可能性が出てきます。すぐに解決しようとする人がなかなかうまくいかないのはこのためです。焦りはじっくり取り組むことを難しくさせ、クライエントが自身の問題を自分で解決するのを困難にさせます。


だからこそ、私はクライエントの話を聴いた後に、すぐに解決できそうにない問題であれば、そのことを正直に伝えます。またクライエント自身に、「その問題はどれくらい時間がかかりそうか」を自己評価してもらいます。多くの方はすぐには解決できないことに気づくことが多いです。
その後に簡単な見通し(見立て)を伝え、どれくらいの時間で解決できるのかを話します。


つまり、「焦らないでじっくりと一緒に取り組んでいきましょう」というメッセージを伝えることです。
このやり方は、クライエント自身がじっくりとカウンセリングに取り組む姿勢を作ることに貢献しますし、またクライエントがカウンセリングを続けるかどうかを選択させる機会を与えますので、無駄に長引かせて害を与える可能性を低くすることにもなります。
(もちろん、それで上手くいかないケースも多々ありますが)


カウンセリングは辛く遠い道のりでもあります。
だからこそ、カウンセリングから逃げずに取り組み、良くなっていった人たちを見ると尊敬の念を抱かずにはおれません。

カウンセリングの限界(3)に続く・・・


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2012.07.30 Mon l カウンセリング考察 l コメント (0) トラックバック (0) l top
心理カウンセラーの田中勝語です。

ロンドンオリンピック、サッカーでは日本がスペインに勝ちましたね。
また、なでしこジャパンも初戦を勝つことができて、夏の暑さも吹っ飛ぶような吉報です。

ちなみに私は最近忙しすぎて、若干疲れ気味です。
オリンピックでエネルギーをもらわねば!!

そういえば、ゲシュタルト療法のパールズという精神科医は人が健康に生きるためには、コンタクトと回避をバランスよくとることが大切だと言っています。

コンタクトとは「接近」という意味です。
例えば、仕事やしなければいけないこと、趣味、または人と会うことなど、私たちが生きていくうえで何かにコンタクト(接近)することが必要です。コンタクトしないと、私たちは欲求を適切に満たすことが難しくなります。

ただ、問題はコンタクトし過ぎると心身が疲弊することです。
皆さんも仕事などしていて最初は楽しかったけど、段々とエネルギーを使いすぎてしまい逆にしんどくなった経験はお持ちではないでしょうか?

そこで、エネルギーを回復させるために「回避」が必要となります。
「回避」とは簡単に言えば、少し距離を置いて休むということです。
適度な休息は心身をリラックスさせ、エネルギーを取り戻し、「次も頑張ろう」という気にさせてくれます。
睡眠は「回避」の最も典型的な行動です。

しかし、回避し過ぎてしまうことも問題です。
そうなると、今度は何か行動を起こすのが億劫になります。私たちは何かとコンタクトを取らないと、欲求を満たすことはできません。人と関わらずに、「所属を感じたい」という欲求を満たすことはできないのです。

コンタクトのし過ぎも回避のし過ぎも問題です。
ようはバランスよく、欲求を満たしながら休養をとることが大切ということです。

私の場合は、どうやらコンタクトのし過ぎのようですね。
この辺り、学生の頃から全く成長していないようです(笑)

ちなみに、パールズは「あれもこれも」といろんなことを一度にしようとするのではなく、「あれかこれか」今できることを一つに絞って選択していくことが大事と言っています。

う~ん、耳が痛いです。




↑大学院の時に非常にお世話になった本です。
ゲシュタルト療法の理論や実際についてとても詳細に書かれているのですが、ちょっとわかりにくい表現があるかもしれません。素人向けではないのですが、カウンセラーを目指す人であれば、是非読んでいただきたい本です。


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2012.07.27 Fri l メンタルヘルス l コメント (0) トラックバック (0) l top
心理カウンセラーの田中勝悟です。


最近忙しくて更新ができていませんでした。
久しぶりに見たらアクセス数が1000ヒットを超えていてびっくりしました。
いつも読んでくれる皆さんに感謝です。


カウンセリングでは困っている人が来ます。
話の内容によっては一回のカウンセリングで解決の糸口が見えて、すぐによくなることもありますが、大半の人は一回のカウンセリングで良くなることはありません。


カウンセリングで来られた方で良くなりにくいタイプの人は概ね3つに分けられると思います。

1)カウンセラーが自分の問題を魔法のように解決してくれると思っている人
2)すぐに問題を解決しようと焦っている人
3)そもそも、カウンセリングの範疇でない相談を持ってきた人
  (例えば、ある人に殺されそうだ。助けてほしい。)


1)についてですが、カウンセリングの目的はクライエントが自分で自身の問題を自力で解決できるようにお手伝いしていくことです。
カウンセラーはその人が自分でできるように、今の問題を整理し、何ができるかを一緒に考えることで、一歩踏み出せるお手伝いしかできません。
カウンセラーが代わりに問題を解決することはしませんし、そもそもできません。
カウンセラーがクライエントの問題を肩代わりすることを、専門的には「カウンセリングの枠を踏み外した行動」と表現されます。


例えば、仕事がなくて困っているという思いでカウンセリングを訪れた青年がいるとします。
そして「どこか良い仕事を紹介してほしい」とカウンセラーに言ったとします。

カウンセラーの仕事は彼に就職口を斡旋することではありません。
もちろん、話を聴きながら情報提供として仕事を話すことはありますが、クライエントの希望に沿った仕事を紹介することはできません。

カウンセラーができることは、彼がどんな仕事を希望していて、そしてそこにつくために今まで何をしていたのかを聴き、現実的にどんな仕事であれば就けるのか、それで彼は本当に満足できるのかどうかを話し合うことです。

カウンセラーが代わりに求人誌で仕事を探して紹介することはしません。
彼が自分の足で仕事を探しに行けるお手伝いをすることがカウンセリングです。

そもそもカウンセラーが仕事を紹介できるほどの情報やコネは持っていないことがほとんどないのでできませんし、もしそれをすれば「できもしないことをやろうとする」ことになってしまい、カウンセリングは混乱していくと思います。


また、結婚したいという人に対して結婚相手を紹介することもカウンセラーの仕事ではありません。
カウンセラーができることは、その人がどういう人と結婚したいか、そしてどんな夫婦や家庭を築きたいか、またそれはどこまで可能かを話し合うことです。
そして、その人が徐々に結婚のイメージをクリアにしていき、また柔軟にイメージを変えていくことで、その人にとって良い相手を自分の足で探して見つけていけるように支えていくことです。

もちろん自傷他害など重篤なケースになれば、これらの原則は当てはまらないこともありますが、カウンセリングでできることはクライエントが自分で今の問題を解決できるようにお手伝いをすることだけです。


この時にクライエントが「カウンセラーが仕事を紹介してくれる」「カウンセリングを受ければ理想の相手が見つかる」とカウンセラーが何とかしてくれると期待を持っている限り、カウンセリングは失敗に終わるでしょう。


そのため、こういう場合は私はカウンセリングについて説明をし、「あなたの思いやできることを整理して自分の力で解決できる糸口を一緒に考えて行きたい」と話します。その時に、今の段階でカはウンセリングで何を話し合っていくのか、見通しについても話していきます。
これがカウンセリングの一本の流れを作ります。この話ができると、大抵の人は納得して自分の問題を自分で解決しようという動機づけが出てきます。


逆に言えば、カウンセラーはクライエントが自分の問題を自分で解決できるように支える技術や能力と、またクライエントがそれをどこまでできるのかを見極める力がないといけないということになります。

自戒の念を込めて、このことを自分の心に刻んでおきたいと思います。


カウンセリングの限界(2)

カウンセリングの限界(3)

に続く・・・

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2012.07.25 Wed l カウンセリング考察 l コメント (0) トラックバック (0) l top
心理カウンセラーの田中勝語です。

前回、薬物療法は適切な医師のもとで、適切な量をしっかりと服用すればかなり有効なやり方であると述べました。

薬物療法は有効か?

ただ、薬物療法は対処療法でもあるため、それだけでは改善が難しい場合も当然あります。

私が患者さんによくお話しているのは、薬物療法は風邪薬みたいなもので、風邪をしっかりと治そうと思えば、しっかりと栄養を取り、ゆっくり休養をとり、汗をかいたらは服を着替えるなど、自分で努力をしないといけない部分もあることを伝えます。

つまり、薬物療法と並行して、病気を改善させるような行動を起こしていくことが大切です。

そのため、医師の薬物療法を行いつつ、カウンセリングや心理療法を受けることで、なぜ自分がこの病気に陥ったのか、改善するためにはどんなことをしていけばいいか、また自分がどういう人間でどうなるとしんどくなるのかを理解し、実践していけるようにしていくことが必要です。
薬物療法とカウンセリングは車の両輪みたいなものであり、それらが上手く機能することで精神疾患は改善しやすくなります。


これはをうつ病の例に当てはめてみましょう。
うつ病は脳内のセロトニンの分泌が減少することが知られています。
セロトニンとは睡眠や生活リズム、意欲集中などに関する神経伝達物質です。
セロトニンが減少することでこれらにも影響を及ぼし、睡眠障害、意欲減退、落ち込み、憂うつ感などのうつ症状を出すといわれています。

薬物療法ではセロトニンが受容体に過度に取り込まれるのを阻害することで、脳内のセロトニンが適切な量になることで精神面や身体面での安定や改善を図ることを目的として行われます。

このことからも適切な量の薬物であれば、症状改善は可能であるといえます。


しかし

うつ病であれば薬物のみで功を奏しますが、大半の人は何らかのきっかけや、満たされなさなど、日常のストレスが積み重なってうつ状態を生じていることが多々あります。

※ちなみにうつ病は脳の異常によりうつ症状が出ている状態ですが、うつ状態とは心理的なストレスやきっかけのためにうつ症状が出ている状態です。

例えば、仕事がたまってきいても誰かに助けを求めることができず、深夜残業して仕事をし続けた結果、過労でうつ状態になったとします。おそらく抗うつ薬の服用で症状は改善はしますが、薬物療法だけでは難しいかもしれません。

なぜなら、このケースの人は自分の許容範囲が全くわからないまま抱え込んでしまうパターンを持っているのかもしれません。もしくは、あまり人に頼ることが難しい性格の持ち主かもしれません。
どちらにしても、自分一人で抱え込んでしまうというやり方を見直していかないと、職場で同じ失敗を重ねてしまう可能性は高いのではないかと思います。
(実際に、こういうケースの患者さんの多くはこれらの理由から「職場に戻ることへの不安」を訴えられます。)

カウンセリングでは、その人が職場でどういうパターンを持っていて、どういう要因でストレスを抱え込んでしまったのか、その要因を整理していきます。その上で、どういう思考や行動を切り替えていけば、ストレスを抱え込まず、うつ状態に陥らないかをカウンセラーと一緒に考えていきます。

このやり方は、主に認知行動療法によりますが、心の病気は薬物だけでなく、自分を見つめ整理していくことで、どう今の状態を改善していくかを考えて、実践していくことが必要です。

もし、精神科でうつ病やパニック障害の治療を2年以上受けていて、効果がないと感じておられる方は一度カウンセリングをお勧めします。特に精神医学に詳しいカウンセラーがいいでしょう。

ただ、主治医に無断で受けに行くのではなく、主治医に一度相談してから受けた方がいいでしょう。
(精神疾患の中にはあまりカウンセリングが有効でないケースもあり、そのためにも主治医の判断は必要だと思います。)





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2012.07.21 Sat l 精神科臨床 l コメント (0) トラックバック (0) l top
心理カウンセラーの田中勝語です。

心療内科で勤務しているため、向精神薬を処方された方とお会いすることが大変多いです。

向精神薬は一昔前は大量処方や副作用の問題があり、今でも薬を飲むことに強い抵抗を持つ人も多くいます。
また、薬がなかなかやめられず中断できないまま飲み続けているケースもあります。

そのため、薬物療法について否定的な立場を持っている団体も数多くあります。
(選択理論も薬物療法については否定的な立場ですが、これはグラッサーが精神医学を学んでいた時代が大量処方中心の治療であったことも関係していると思います)


私自身は薬物療法については肯定的な立場をとっています。

それは、患者さんが向精神薬を服用して、気分や情動が安定することで、非常にカウンセリングが進みやすくなるという経験があるためです。
また、比較的軽いケースで適切な量の薬の処方であれば、それだけで改善するケースも多くあります。
重篤な場合(自殺の恐れがあったり、過度に妄想が激しいケース、精神疾患の症状が重くて自傷他害の恐れが高いケースなど)では、薬を服用しないと社会復帰はおろかカウンセリング等の支援もできないことがほとんどです。

他にも、不眠によってうつ症状や心身の不調がひどいケースでは、全てではないですが睡眠薬を服用するだけで驚くほど改善が見られることもあります。

向精神薬を服用することで、心身が安定し、病気にも関わらずに前に進むことも十分可能です。

しかし、

向精神薬を服用する際に注意しないといけないことがあります。
これらの薬は脳の神経細胞や神経伝達物質に作用します。そのため、脳生理学に詳しい精神科医や心療内科医など精神保健指定に診察を受けて、薬を処方してもらうことが望ましいです。
近年、睡眠薬や抗うつ剤を大量に出されてしまい、薬依存になってしまっている方がおられますが、それは内科医など精神医学が専門外である医師の処方であったり、稀に大量処方しか知らない医師であったりします(本当に稀だと思いますが)。

そのため、もし落ち込みや不安が強くて、向精神薬を服用する必要があるのであれば、かかりつけの内科医などではなく、しっかりとした精神科医や心療内科医に診てもらうことをお勧めします。

また、初期に大量の薬を出すことはあまりありませんし、患者の同意を得ないまま薬を出すこともありません。
もし、なぜこの薬を飲むのかわからないのであれば、医師に確認をしてみてください。わかりやすく説明してくると思います。


先ほどもお伝えした通り、向精神薬は医師のもとで適切な量で、きちんと服用すれば大変有効な治療法でもあります。それは症状が安定することにより、病気を治すための行動を起こすことができ、改善することもあります。

ただし、薬物療法は対処療法です。
風邪を引いた時に、風邪薬や熱冷ましを飲むようなものです。しかし、それだけでは治りません。風邪を治すには薬を飲むのも大事ですが、それよりもしっかりと栄養を取り、汗をかいたら服を着替え、ゆっくりと寝るなど休養をとることが必要です。つまり、薬で症状を安定させつつ、さらに身体を整えることで体内の菌やウィルスを殺すような行動をとらないといけません。


うつ病など精神疾患も同様です。
このことについてはまた後日、書いてみたいと思います。
続き:カウンセリングと薬物療法


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2012.07.19 Thu l 精神科臨床 l コメント (0) トラックバック (0) l top
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