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私はスクールカウンセラーの仕事で自宅から片道2時間以上かかる学校に行っているのですが、朝の車の運転中に急に呼吸が荒くなり、落ち込みや焦り、不安、パニック状態になりました。
その後、急激な疲労感や過呼吸状態になり、さらに吐き気や食欲も全く出ません。
肩こりもひどく、集中力もなくなった状態になり、何度も車を降りて休憩をしないほどでした。

これらは、一般にうつ症状と言われているものです。
急激なうつ症状が私を襲ったのです。

以上は本当のことですが、これだけを聴くと、読まれた方が「田中さん、うつになったのでは?」と思われるかもしれません。

この話には背景があります。

実は私が急激なうつ症状を起こしたのにははっきりとしたきっかけがあったのです。

それは・・・

「家のストーブの電気を消した記憶がない」

という考えが私の頭の中を過ったということです。

「もしかして、ストーブ切り忘れたのでは?」
「妻は仕事で夕方まで帰ってこないし、連絡がつかない」
「今から引き返したら、学校に絶対に間に合わない(車を運転して1時間くらいで気づきました)」
「もし火事になっていたら、どうしよう?」

と思考がグルグルと巡り、それに伴ってうつ症状がどんどんと出てきます。

選択理論では、思考と感情・生理反応はセットになって捉えています。
考えたことによって、感情や気分・身体の調子は左右されるのです。

私のうつ症状はこの思考によって起きていました。

しばらくはグルグルと考えていましたが、車はどんどん職場に近づいていき、すでに家に戻ることはできないところまで来てしまいました。
そうなると、「もういいや。その時に考えよう」と腹を括りました。思考が変わったのです。すると、先ほどのうつ症状がスーッと収まり、仕事への集中もできるようになっていきました。

※ちなみに後で妻に確認したら、「きちんとストーブのスイッチは消していた」とのことでした。すると、さらに不安や焦り、肩こりなどの症状は消えていきました。


このように思考や認知によって生じるうつ症状というのがあります。
これを専門的には「うつ状態」と呼んでいます。

(本来のうつ状態は上記のような思考によるうつ症状がかなりの間、持続します)

うつ状態は思考や認知を変えることによって、軽快もしくは消失します。
これがカウンセリングや認知行動療法が「うつ病(正確にはうつ状態ですが)」によく効くといわれる所以です。

ちなみに、「うつ病」とは思考や認知の歪みに関係なく起こります。
脳の神経伝達物質のバランスに異常が出ている状態だからです。
そのため、うつ病は認知行動療法やカウンセリングで軽快することはありません。
お薬と休養で脳の機能を整えることがまず優先となります。

逆に思考や認知による「うつ状態」は薬や休養のみでは軽快しないでしょう。
最初の私が経験したことは、「ストーブの電気を消したかどうか」がわかれば瞬時になくなるものだし、抗不安薬や抗うつ剤を服用してもなくなりはしません。

ただ、実際はベテランの医師でもうつ状態とうつ病の見分け方は難しく、両者が混ざり合っているケースも多々見られます。具体的には、「考えかたが悪くて最初はうつ症状を起こしていたが、それでも頑張っているうちに本当に脳が疲弊してしまい、うつ病になってしまった」というような例です。

そのため、うつ病治療はカウンセリングと薬物の併用が望ましいといわれるのです。

うつ病の治療は、薬物と休養の他に、このようなカウンセリングも視野に入れた方が良いでしょう。




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2014.01.21 Tue l 精神科臨床 l コメント (0) トラックバック (0) l top
Facebookで次の質問をしました。

「恐怖と不安の違いとは?」

カウンセリングで「恐怖」を訴える人が来られます。
例えば、人が怖い、集団が怖い、狭いところが怖い、、視線が怖いなどなど。それらに応じて「○○恐怖」という診断名があります。これらは何が「怖い」のかはっきりとわかっていることが特徴です。

※ちなみに対人恐怖症というのは、人に対して恐怖を感じている状態ではありません。人から嫌われる、迷惑をかけることに恐怖を抱いている状態です。


しかし、ときどき何が怖いのかわからないのに、ただ「怖い」とだけしか言わない人もいます。「何が怖いの?」と聞いても、ただ「怖い怖い」としか言わない場合です。

さて、ここで大切なことは私達が普段言っている「怖い」とはどのような状態かです。
この辺りをしっかりと知っておかないと、「怖い」と訴えるクライエントの心情を把握することは難しいでしょう。

「怖い」というのは実際に身に危険が迫っている、命の危険がある場合に生じる感情や生理反応のことです。

例えば、交通事故で命の危険にさらされると実際に車の運転が怖くなります。
殴られる、包丁で刺されるような状況では当然足がすくみ恐怖が出ます。

このように、恐怖と言うのは実際に身の危険を回避しようとして生じるための反応です。そのため、特定の状況や対象に対して生じるのが原則の感情なのです。


上記の「よくわからないけど怖い」というのは恐怖とは言えません。
まあ、「昨日、TVで地球崩壊の番組見て、地球がなくなったらと思うと怖い」と言うのであればまだ正常ですが、この場合も「なぜ怖いか」はわかります。

この「よくわからないけど怖い」という場合、それは恐怖とは呼ばず、「不安」と呼びます。
「不安」と言うのは未来に向けられたものであり、漠然としたものに対して生じるという特徴があります。例えば、「明日のテストが怖い」というのは「明日のテストが不安だ」ということです。将来できるかどうか、よくわからないからどう対処していいかわからないということに対して生じる感情が不安です。

「恐怖」のようにその対象がなくなれば、状況を避ければ、大丈夫というわけではありません。未来に対して「どうしようか・・・」と曖昧な状況に対して生じるのが不安です。

不安と恐怖というのはとても似た感情、生理反応を伴います。しかし、生じるメカニズムや中身は全く違います。

恐怖は、実際に身の危険が起こり得る時に生じる反応で、しっかりと恐怖の原因が特定されているのが特徴です
不安は、未来や将来起こり得るものに対して生じる反応で、まあどれが不安かが漠然としてわかりにくいという特徴があります

という特徴があります。

私はカウンセリングで「怖い」と訴える場合は、まずそれが「恐怖」か「不安」かを分けます。分けた後で、各々の対処の仕方を一緒に考えます。また、恐怖か不安かが特定されれば、イメージがしやすくなり、その分共感も肯定もしやすくなります。

恐怖と不安の違い、お分かりいただけましたでしょうか?

またFacebookでこうしたお題を出していきたいと思います。
興味がある方、ぜひ私とお友達になりましょう。
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Facebook(田中勝悟)

あと、こういったお話、選択理論に興味のある方はこちらもご覧ください。



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2013.10.27 Sun l 精神科臨床 l コメント (2) トラックバック (0) l top
心理カウンセラーの田中勝悟です。

ネットで「うつ病」と検索をしてみると、本当にいろんな名前が出てきます。

例えば、
反応性うつ病
非定型うつ病
新型うつ
内因性うつ病
うつ状態・・・・などなど

精神医学に詳しくない方は「うつ」について調べれば調べるほど、非常に混乱してしまいます。

よく患者さんで、「自分はPCで調べたら非定型うつ病のような気もするんですが、実際はどうなんですか?」と聴かれることもよくあります。私は「医師ではないので診断はできませんが・・・」と前置きはしながら、患者さんの症状や成育歴、きっかけから、どのような状態にあるかを伝えることがあります。

ここで大切なことは、これらの名称は精神医学のうつ病の診断名ではないということです。

DSM-Ⅳという精神疾患の診断マニュアルでは、うつ病というのは気分障害の中に含まれ、双極性障害、大うつ病性障害、気分変調性障害、特定不能のうつ病性障害といった分類の中に含まれます。ちなみにICD-10では気分「感情」障害という区分けに入るそうです。

これらのマニュアルの中に最初に述べたうつ病の名前はありません。

そもそも「うつ」という状態は、自分の望んでいる状況と現状とのギャップが起こり、身体がその状態を教えてくれるために生じる生理反応・感情の総称です。私たちは状況が思い通りにいかない時、ストレスを感じる時、ネガティブに物事をとらえる時など、セロトニンが低下し、「うつ」が反応として表れることがあります。
(ちなみにセロトニンは、ビタミンやたんぱく質など栄養が十分に取れなくなる場合にも低下します)

そのため、私はよく「うつ反応」という言葉を使います。
今の状況は自分と合わなくなって、そのことを教えてくれるために「うつ」が反応として選択されたと考えます。

※「うつ反応」とは私の造語です。精神医学の言葉にこのような用語はありません。ただ、患者さんの状況を表現しやすいだろうと思い、使っているだけです。

これらが選択理論でのうつ病の一般的な理解の仕方です。

本人が望んでいた状態と現状を整理していくことで、その人がなぜ「うつ」が選択されたのかが見えるようになり、病気の理解が深まります。ここまでくれば、現状と望んでいる状態が釣り合うように調整をしていき、「うつ」という反応を選択しなくて済むようになることで、驚くほどうつ症状は軽快します。

そして、ここからが大事なところですが、「うつ」が反応として選択されたものであるなら、当然その出方は個人差があるはずです。落ち込みはないけど頭痛がでたり、身体の力がでなかったり、めまい、身体の痛み、不眠、食欲不振などなど。

これらはうつ症状と呼ばれますが、症状だけでみると実に多くの組み合わせがあります。
(例えば、夜ぐっすり眠れるけど、食欲がなく、吐き気があって、頭痛、落ち込みのあるうつ病というのも当然あります)

そのバリエーションは驚くものがありますが、バリエーションごとに分類すると上記のいろんな名前に分けることができます。これがいろんなうつ病にいろんな名前がつく要因であると私は考えています。

これは実は発達障害にも当てはまるものですが、もし体の不調やうつを疑う場合は、自分の理想にあるものと現状がどれだけ違っているのかを整理してみることをお勧めします。精神医学に詳しいカウンセラーに聴いてみるのもイイでしょう。

状態によっては病院の力も必要な場合もありますが、大抵は整理がつけば症状は改善することが多いものです。



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2013.07.21 Sun l 精神科臨床 l コメント (0) トラックバック (0) l top
心理カウンセラーの田中勝悟です。

私はスクールカウンセラーの他にクリニックで働いています。
主にうつの方のカウンセリングが多いかな?

さらに新型うつと呼ばれる方のカウンセリングが多いという印象です。
(もちろん、夫婦問題や虐待、DV、発達障害など多岐にわたるカウンセリングをしますが、割合として多いという印象です。)

従来のうつ病は、まじめな方、周りに気を配る方がなりやすく、過重労働やプレッシャーなどいくつものストレス要因が重なって発症します。頑張り過ぎた結果、発症しますが、当の本人はさらに頑張らないといけないと考えてしまい、頑張ってもできない自分に対して自責の念を抱きがちです。
典型的なうつ病では、薬物療法と休養があれば本人の「頑張りたい」というもともとの性格も手伝って、割とスムーズに回復します。また、頑張り過ぎて発症したため、「頑張りなさい」を言わないようにすることが必要なケースが多いです。


それに対して、新型うつと呼ばれる、従来のうつ病とは違うタイプのうつを示す人たちもおられます。
典型的な例は仕事中はうつ症状が出て、仕事が終わった後や休日は元気になるというタイプです。従来のうつ病患者では仕事がない日でも仕事のことを考えて、うつ症状を示すのですが、このタイプでは仕事がない時は元気という場合があります。なので、従来のうつ病とは全く別物と考えて対応しないとエライことになります。

ここで詳しく新型うつのことを書くと、新型うつで悩んでいる人たちにとって不利につながる場合もあるため、多くは語れませんが、簡単に言えば仕事や困難にぶち当たるとうつ症状を示すタイプのうつと考えていただければと思います。周りから見れば、「わがまま」と捉えられがちですが、新型うつの方たちは「会社の規則に上手くなじめない」とその人なりに苦しい思いをされています。

そのため、彼らがうつ症状を選ばなくても済むような対策や支援をしていく必要があると思います。できれば、本人がより良いやり方を自分で探し、学べるような社員研修を導入するなどが必要でしょう。

私は新型うつのカウンセリングをよくしますが、本当に彼らなりの苦しみや生き辛さがあるんだと実感することが多いです。困難にぶち当たったり、仕事の時だけうつ症状が出てしまうので、「なんてダメな人間なんだ」と自己嫌悪に陥る人もいます(まあ、大抵見せないようにしていますが)。

新型うつのカウンセリングでは、そういう彼らの行き辛さをまずは一緒に感じ、その上でより良いやり方を一緒に考えていく姿勢が大切です。時間はかかります。上手くできないしんどさやつらさから逃げようとする人もいます。その中で逃げずに自分の課題と向き合い、一つ一つ乗り越えていくことが新型うつの治療のコツだと思います。今までの経験からも、最初は嫌なことがあってすぐに逃げていても、最後には会社でストレスを抱えながらも頑張って働くようになった方がおられます。

「人は頑張ればいつでも乗り越えることができる。」
新型うつを治す楽な方法はありません。
目の前の問題に逃げずに取り組み続けることが唯一の治療法だと思います。
それを支えていくことが、新型うつのカウンセリングのコツだろうと思います。

以下のリンク先の記事もご覧いただければと思います。
新型うつと従来のうつ病との違いはどこか?

新型うつは甘えなのか?それとも病気なのか?

なぜ新型うつに陥ってしまうのか―そのメカニズムと治療法

新型うつは必ず治る!―薬物療法よりもカウンセリングが効果的


↑新型うつについてわかりやすく書かれています。また、従来のうつ病や人格障害、また統合失調症などうつ症状を起こす心の病について書かれており、またそれについての対策についても書かれています。非常に実践的な本です。


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2013.04.28 Sun l 精神科臨床 l コメント (0) トラックバック (0) l top
心理カウンセラーの田中勝悟です。

昨日は中学生に「心の授業」をしてきました。

「心の授業」と言っても、選択理論のエッセンスである「私たちは行動を変えることができる」ということを例を交えながら、ワークを用いながら話をしただけですが。
それでも子供たちは真剣に聴いてくれ、アンケートにも「受験勉強に役立ちそう」「嫌なことがあった時に乗り越えられるヒントになった」とうれしいコメントを書いてくれました。

選択理論のエッセンスは「私たちの行動はすべて選択されたもの」ということです。そして一部を除いて、ほとんどの精神病は患者自ら選択した行動であるとグラッサーは説明しています。

私たちの行動は行為・思考・感情・生理反応に分かれます。

例えば、うつ病というのは落ち込みなどの感情行動が顕著に選択された状態であると選択理論では説明されています。
(この「選択された状態」がポイントです)
そして落ち込みやだるさが日常生活に支障が出てしまったために、多くの人は心療内科の門を叩きます。

この時、多くの人は「落ち込み」を何とか解消したいと考えています。
しかし、それでは上手くいかないでしょう。
なぜなら落ち込みは感情行動だからです。
感情と生理反応は直接コントロールすることができない行動です。

そのため、感情を何とか変えようとしても、多くの場合、それは無駄になってしまいます。

そこで、選択理論では直接コントロールしやすい行為と思考に焦点を当てます
よく言われる例が「落ち込んだときは早歩きをすればいい」というものがあります。

私たちは何か楽しいことをしているとき、体を動かしているときは落ち込んだ気分を選択することは難しくなります。

また、考え方を切り替えるということも有効です。
例えば、アドラーという精神科医は嫌なことをしないといけないときにはこう考えたそうです。
「やったー!まだやることが残っている!人生は私を必要としているんだ」

「なぜできないか」に焦点を当てるよりも、「どうすればできるか」を考えていくと落ち込みを選択しにくくなるでしょう。

授業を受けた中学生たちが学んだことをヒントにして、これらからの人生を上手く乗り越えてくれることを心から望んでいます。


※いつも読んでいただいてありがとうございます。
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2012.12.06 Thu l 精神科臨床 l コメント (0) トラックバック (0) l top
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